竜宮城から帰ったら・・
「あれほど、嫌だった会社の宴会が、肩書きがつくと竜宮城になるんだよ」
最近読んだ、とある本にそんな内容が書かれてました。
よーく分かりますよね。
若い頃は、お酌やらなんやら気遣いが、求められますが、
「偉く」なりますと、
すべてが逆になります。
まさに「竜宮城」です。
ただ「竜宮城」にずっと居続けることはできません。
浦島太郎は、自ら「帰りたい」と言い、
乙姫様から引き留められますが、
現実世界では、逆です。
人事異動、役職定年・・で、
「どうぞお帰りください」
と言われてしまうのが、現実世界です。
私は、かなり早い時期に、
サラリーマンをドロップアウトした人間なので、竜宮城から、帰った後の生活を、
身をもって体験させていただきました。
同じ話をしても、「現役」竜宮城人間とそうでないかで、
こんなに話の受け取られ方がちがうんだ、と実感しました。
私がいた竜宮城は、そんなに大した竜宮城ではなかったのですが、
もう、ひと昔以上経つ今でも、竜宮城での懐かしい日々を、
悔悟の情と共に思い返します。
私も浦島太郎と一緒で、
「もう少し居なさい」
と、周りの方々より、
心からのご忠告をいただいたのですが、
「いや、帰る」
と言って、無理やり帰ってしまったので、反省や後悔もひとしおです。
(本当にあの頃の、ご迷惑をお掛けしたみなさま、すみませんでした。)
以前、そんな話をある年長の方にしましたら、
「早いか遅いかの違いだよ。
いずれはみんな、君と同じ気持ちになるんだ。」
と笑いながら励まされました。
「ただ」
とその人は、真顔になり、言いました。
「最後は家族だよ」
「何を失っても、そんなに大したことではない。
君が思っているよりずっとね。
ただ、家族を失うこと、
これは一番、こたえると思うよ。」
浦島太郎のお話は、少し不思議なお話です。
ふつう、昔話というものは、
「正直者が結局、最後は勝つから、正直に生きよう」
とか
「倹約をして、こつこつ生活することが大切」
などの分かりやすい教訓があるものですが、
浦島太郎のお話は、一体、何が教訓か、
よくわかりません。
なぜ、亀を助ける、という良い行いをした浦島太郎が、
最後はおじいさんになってしまうのか?
乙姫様は、なぜ開けてはいけない玉手箱を、
持たせたのか?
不思議ですね。
もちろん、私も
「浦島太郎のお話の教訓はこれこれです」
などと言い切る何かを持っているわけでは、
ありません。
ただ、
「家族」という視点
ちょっと見えてくるものがあります。
浦島太郎の年老いた親は、自分の子どもが、
突然、いなくなってしまい、どれだけ心配をして、
さびしい思いをしたのか・・。
竜宮城から、帰ってきた
浦島太郎は、親が亡くなったと知ってどれだけ、
親に心配をかけた、自分の行いを悔いただろうか・・。
私自身を省みても、「竜宮城」にかまけて、自分の大切な人に、
寂しい思いをさせてきたのではないだろうか・・。
私には、この昔話は、
「自分の帰りを
『おかえり』と出迎えてくれる人
がいることの大切さとありがたさ」
を、教えてくれているような気がします。
ところで、浦島太郎といえば、亀ですが、
私は子どもの頃、亀を飼っており、
今でも大好きな生き物のひとつです。
亀を見ていると、癒され、幸せな気持ちになります。
マイペースで、食べ物の好き嫌いもなく、
硬い甲羅に守られて、冬は冬眠でグーグー寝て、
長生きで・・。
自分の人生も、そんな感じで生きれたら良いなー、
と思ったりしませんか?
~written by ♂counselor~
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